2021/10/06

チームで対策したい、少年野球夏の熱中症対策のポイント7つ

猛暑日

少年野球の夏、それは熱中症との戦いでもあります。特に身体の機能が未発達な小学生は、大人が十分注意してあげる必要があります。

今回は熱中症が起こりやすい6-9月にかけて、うちのチームで取り組んでいる対策をご紹介します。

保健係の設置

保健係救急箱

クラブチームと違って、運営はボランティアなので保護者の関わりも多いスポーツ少年団の野球チーム。この保護者の負担を嫌う人も多いですね。うちのチームでは、子どもに怪我なく安全に野球を楽しんで欲しいという思いと、私を含めて複数人医療従事者がいることもあり、父母会で保健係を設置することにしました。保護者負担が増える、と逆に監督が良い顔をしませんでしたけど。

保健係といっても、役割りとしてはそれほど大したことはありません。

  • 毎熱中症シーズン前(5月)に対策の見直し
  • 熱中症はじめ野球で起こりやすいケガ等の応急処置を他保護者と共有する
  • 救急箱の在庫チェック

毎回の練習時に保健係はグラウンドに出る必要はなくし、その場にいる監督・コーチ含めて大人がいざという時に対応できるように積極的に情報提供をするイメージです。

保健係といっても同じチームのパパとママですから、普段から顔を合わせていれば医療的なことも聞きやすい関係が作れると思います。

いやいや、たまたま医療従事者がいるからできることでしょ??という方のために、医療知識がない方でもチームで熱中症予防のために取り組むためのポイントを以下にまとめました。

熱中症対策のポイント7つ

1.熱中症に関するわかりやすいサイトリンクの共有

熱中症予防とか対策と検索すると、たくさんのサイトがヒットします。その中からわかりやすいだけでなく、医療従事者視点で必要な項目がしっかり押さえてあるサイトリンクをチームLINEに流して、他の保護者の皆さんと情報共有しています。

リンク先を読んでね、だけでは皆さんなかなか実行に移してくれません。さらに以上のリンク先から最低限必要なページをピックアップしてPDFにまとめてLINEへ流しました。

それでも、

誰か倒れても、きっと回りのパパやママがフォローしてくれるよね?!

と話すチームメートのママがいました。知識や経験がないと余計に「自分はきっと当事者にならないはず。」という正常性バイアスが働いてしまうのですね。

不測の事態はいつどこでどんな状況で起こるかわかりません。リンク先の情報以外に、保護者の皆さんが実際に行動しやすいように、LINEで具体策を流しています。次から順に説明していきます。

2.ためらわずに救急車を呼ぶ症状を知ってもらう

救急車

子どもや練習をお手伝いしている大人の様子がおかしくても、

ちょっと様子をみよう・・・
おうちの人に迎えに来てもらう??

など、

「まさか救急車を呼ぶような状態ではないだろう。」

と、楽観視したくなったり(正常性バイアス)、監督やコーチなど管理者の立場にある人は、

「救急車なんて来たら周りの目が・・・」

と、つい保身を考えてしまうケースがあります。

熱射病になっていたら命に関わります。そこで、保護者の皆さんには、ためらわずに救急車を呼ぶ症状についてまずお知らせしました。

  • 受け答えがあいまいで、意識がおかしい
  • 自分で水分が取れない

自分の判断に自信を持って、上記の症状が見られたらすぐに救急車を呼びましょう。

3.十分な水分および塩分をこまめに補給する

熱中症予防には、十分な水分および、塩分のこまめな補給が必要です。

補給する飲料の中身としては、0.1~0.2%の食塩と糖質を含んだものが効果的で、一般のスポーツドリンクが利用できます。ただし、あまり糖質濃度が高くなると位にたまりやすく好ましくありません。エネルギーの補給を考慮すれば、4~8%程度の糖質濃度がよいでしょう。
[食塩相当量が0.1~0.2g(100ml中)であれば、0.1~0.2%の食塩水に相当します。]

日本スポーツ協会 スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブックより一部引用

低学年から高学年までいる少年野球には、本当にいろいろな子ども達がいます。例えば、がぶ飲みして気分が悪くなってしまったり、休憩時間になるとはしゃいで給水を忘れてしまう子など・・・。

目を配る先は子ども達だけではありません。練習に気合が入り過ぎて休憩を取ることを忘れてしまうお父さんコーチもいます。

これらを踏まえて、給水のポイントを押さえておきましょう。

  • 20-30分にコップ1杯程度の水分補給を促す。(ただし、子どもの体重や発汗量によって前後する。適切な水分の補給量は、体重減少が体重の2%以内に収まることが目安。)
  • お茶だけでなく市販のスポーツドリンクや手作りスポーツドリンク(水1L・砂糖大さじ6・塩小さじ1/4・レモン果汁50ml)を子どもに持たせる。
  • 適切な給水をしているか、子どもたちの様子もしっかり見る。
  • 練習に熱中して給水・休憩タイムを忘れないよう、必要であればコーチ等へ声をかける。
  • 日頃の練習から水分は飲みたいときに飲むように子どもに声をかける。

4.休憩時間に体を冷やすこと

休憩時間は日陰でしっかりと休息するように子どもたちに声をかけてあげましょう。休憩になると決まって鬼ごっことか始める子どもがいるんですよね・・・。その元気は練習で使いましょう。

日陰といっても、真夏はそれほど涼しくありません。個人対策として以下の冷却グッズを上手く使うことをお勧めします。うちのチビが使っているグッズに関しては次回に詳細をお伝えします。

  • 保冷剤
  • 氷のう
  • アイスタオル

ただし、特に保冷剤による冷やし過ぎには注意が必要です。

直接肌に当てるのではなくタオルを巻いたり、同じ場所に当て続けていないか(15~20分以内)よく見てあげましょう。

休憩時間にはパパたちにグラウンドの水まきをしてもらうこともあります。シャワーにもなって、子ども達も冷たくて気持ちがいいと人気のアトラクション?になっていますよ。

少年野球チームの中には、使用グラウンドの横にエアコンを設置した建物を自前で用意されているところもあるようです。(【少年野球2.0】災害並みの酷暑!神戸の少年野球チームの進んだ「熱中症対策」)また、夏場の練習はTシャツとハーフパンツなどの軽装で行い、ユニフォームで練習する時間をなるべく短時間にして涼しく過ごせる工夫をしているチームも。

他のチームの運営方法も参考にして、良い点は積極的に取り入れていきたいですね。

(うちの場合は、頭のカタい監督と交渉するのがかなり大変なのですが。ため息・・・)

5.日陰で休ませる

休憩時間は木陰や建物の影など、日陰で休ませるのは当然ですが、例えばバッティングの順番を待つ、紅白戦(同じチーム内での練習試合)での攻撃の際のベンチなど、日陰のないグラウンドにもテントを準備してそこで待機できるようにしましょう。

時間が経過すると太陽の位置も変わりますが、放っておくと子どもたちは、すでにガンガンに日が当たるようになってしまったところで待機したままでいることがあります。そういったところにも目を向けてあげましょう。

6.チームで氷と水分のストックをする

うちのチームの熱中症対策は、個人での対策をしっかりしてもらうことが前提になっています。その上で気分が悪くなってしまった子どもや、調子が悪そうな子どもの体をしっかりと冷やすための氷をチームで準備しておくことにしました。具体的には、首・わきの下・足の付け根を冷やして体温を下げるために使う氷の確保です。

コロナ以前は夏になると試合の際は、当番がバケツに氷水を準備していました。子ども達のタオルを浸してベンチに戻るたびに渡していたそう。(チビが入団する前の話し。)

当然バケツの中は汗と泥で真っ黒・・・

今まで感染症が広がらなかったのはラッキーだったと思いますが、コロナ感染予防も必要なので「バケツに氷水」は廃止しました。

氷の運用に関しては、保護者の皆さんになるべく負担がかからない方法を取っています。

  • 6月から9月まで車の当番(遠征時の送迎要員。7名程)が子どもに氷(製氷皿1つ分程度)を持たせる
  • クーラーボックス(大)へ氷を保管し、遠征時は氷を小分けしてクーラーボックス(小)へ入れて持参
  • 氷はビニール袋へ小分けして保管し、感染予防のため使用した氷袋は廃棄する

先ほどご紹介した少年野球チームのようにエアコンを設置したりすることはできませんが、チームで性能のよいクーラーボックスを一つ購入しました。

『シマノ クーラーボックス フィクセルプレミアム』です!!

電源のいらない冷凍庫を購入したようなものです。ただ、クーラーボックスは使用する前に保冷剤であらかじめ冷やしておいた方がいいのですが、練習グラウンドの倉庫内に置いてあるのでそれができません。それでもこの夏追加で氷を持って来る必要があったのは2回のみでした。性能に関しては文句なしです。

チームの繰越金が結構あるので、思い切って初期投資をして正解でした。ちなみに、保冷剤も『ロゴス(LOGOS) 保冷剤 倍速凍結・氷点下パックM 』と、なるべく性能のいいものを購入しました。

遠征用のクーラーボックスには、『ダイワ(DAIWA) クーラーボックス クールライン』を購入。カラーはグリーンで一目でうちのだ!とわかるものに。

こちらはシマノ製より保冷効果は落ちますが、4-5時間もてばいいので軽さを優先しました。

子どもには十分な量の水分を用意するよう保護者の皆さんにお願いしていますが、それでも練習途中で飲み物が無くなってしまう子もいます。

そんな時のために、スポーツドリンクとお茶を数本ストックしています。練習開始と共にシマノクーラーボックスの中に各1本ずつ入れておけば、しっかりと冷えます。

7.体調を崩しやすい子どもを把握しておく

チームには小学1年生から小学6年生までの子どもたちが所属しています。体の大きな高学年に比べると、低学年のお子さんは小さいので特に体調に注意を払ってあげる必要があります。

他にも、食が細い子、朝ごはんを食べてこない子、季節関係なく気分が悪くなりやすい子・・・いろんな子がいます。

30名弱の小さなスポ少なので、ちょいちょい練習に顔を出していれば、すぐにこういった特徴がつかめます。低学年の練習時は要注意な子どもの体調をマークしておきましょう。

夏季は、高学年と同じ長さの練習時間では低学年はかなり体力を消耗してしまいます。低学年は早めに練習を切り上げる、お休みの日を入れるなどの練習日の設定の工夫も必要です。

・・・うちの監督は以前はそういった配慮もしていたそうですが、年齢を重ねてあまり意識が向かなくなったのか全学年ほぼ同じスケジュールを組みます。その場にいる保護者が、毎回「低学年は帰らせてもいいですよねっ!!」と確認してます。ふぅ。

おわりに

2021年の夏は雨の日が多かったですが、やっぱり暑かったです。

チームと個人で熱中症対策に取り組んでいますが、それでも気分が悪くなってしまうお子さんはいました。救急車を呼ぶような事態はありませんでしたが、熱中症ゼロではありません。

今の子どもたちは、外で遊ぶ機会も減り体力がない子が多いです。また酷暑日も増加しています。(参考:気象庁『大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化』)うちの監督はチーム指導歴40年以上の大ベテランですが、長時間練習など昔の考えが抜けきらないところが多々あります。

子ども達の安全は保護者で守る。

そして、楽しく野球をしたいですね。

今回はチームで取り組んでいる熱中症対策でしたが、次回は我が家の対策(個人対策)「少年野球の夏を乗り切る!熱中症対策お役立ちアイテム6つ」をご紹介します。