2020/11/02

インコが風邪をひいた!治療と看病の実際

動物病院

インコが初めて我が家にやってきて、どきどきワクワク・ドタバタの一週間が過ぎました。実は、なんとその間に我が家のあんこちゃんは風邪をひいていました。

インコ飼い初心者は、飼育本等で病気に関する知識はそれなりに頭に入っても、経験がないために症状の早期発見は難しいです。今回は当時日齢約60日の幼鳥だったコザクラインコのあんこちゃんの風邪の診断から治療、おうちでのお世話についてのお話しです。

健康診断へ行く

我が家が頼りにしているインコ飼育本の一つ、『インコの気持ちと飼い方がわかる本』やネットでも、インコをお迎えしたら早めの健康診断をおススメしています。ショップによっては、規定のお迎え日数以内に健康診断を受けて異常が発見された場合、返金される規約があります。

うちのワンコも受けていない健康診断、インコに・・・必要??

と思っていました。だって、鳥だよ、トリ!!と(^-^;全国の鳥飼いの皆様、本当にごめんなさい。

2週間行くかどうか悩みましたが、初めてのインコ飼育で経験もなく、鳥専門の獣医さんも少ないことから、病気や飼育について安心して相談できるかかりつけ医を見つけるメリットは大きいと考え、健康診断を受けることに決めました。

すでにその頃には風邪を発症していたのですが、全く気付いていませんでした。

風邪だった!

あんこちゃんを購入した鳥専門ショップでは、購入時に近くの鳥を診察できる動物病院を何軒か紹介してもらえます。そのうちの一軒で、ネットでも評判が良かった隣の市にある動物病院へ受診することにしました。

電話予約の動物病院だったので、その際にどのような検査をするか確認しておきました。血液検査は受けず一般的なそのう液検査と糞便検査のみを受けることに。

当日はそのう液検査のため、朝の挿し餌は中止。糞便検査用にフンをラップに包んで持っていこうか迷いましたが、だいたい20分に一回フンをするので、診察中にするだろうな、と思い、こちらは事前準備はしませんでした。

通院バッグ

まだまだ寒い3月の初旬。移動用のツールバッグ内はしっかりと保温します。具体的な通院バッグの保温については、インコをお迎えする前に準備しておきたい飼育グッズ:すぐに使うもの編 に記載しました。

車で30分ほどかかりますが、道中も特に問題なく病院へ到着。ほどなくして診察室へ呼ばれます。

プラケースの中に入って、ジッとしているあんこちゃんを見て、先生は一言、

「風邪を引いているようですねぇ~。」

・・・

・・・・

・・・・・

え?!うそーん!!( ゚Д゚)

凍り付きました。

先生はあんこちゃんの症状について丁寧に説明してくださいました。

風邪症状

思い起こせば、受診する数日前から「あれ?」と思う症状は出ていました。

  • くちばしが閉まらず少し開いている
  • うつらうつらよく寝ている
  • 挿し餌のときに時々ズビズビと鼻が鳴る
  • 小さな声で「チュン」とよく鳴くようになった

体重も変わっていないし、フンの状態には問題なく、放鳥すると元気そうだったので、「こんなものかな??」なんて思っていました。経験がないと明らかな異常だとわかりません。

上記の症状は気管炎によるもので、以下の原因により見られる症状でした。

  • くちばしが開いている→鼻づまりで息苦しいから
  • よく寝る→体力を消耗
  • 鼻が鳴る→鼻づまりの音
  • 小さな声で「チュン」とよく鳴く→鳴いているのではなく、くしゃみ

これ以外にも獣医さんに指摘されて気づいたのが、

  • 分泌物(鼻水)で鼻の周りの羽毛がぬれて、毛が立っている

でした。全然気づきませんでした・・・。

検査内容と結果

プラケースの中に入ったままの観察の後は、あんこちゃんを外に出して検査をします。これまで保定なんてしたことなかった鳥飼い初心者の私たちにとって、初めて見る獣医さんの保定は鮮やかでした~。

  • 視診(拡大鏡併用)
  • 触診
  • 聴診
  • 糞便検査
  • そのう液検査

聴診の結果は、それほど汚い音はしていないとのこと。ちょっと安心です。

糞便検査とそのう液検査は採取した検体を顕微鏡でチェックします。

ところで、そのうとはどんな働きをしている器官なのでしょう??

そのうは、入ってきた食べ物を温め、飲んだ水によりふやかす働きをする器官ですが、消化機能はないので、細菌、真菌、ウイルスなどが繁殖しやすくなります。

インコの気持ちと飼い方がわかる本

そのう液検査の様子がよくわかる動画を鹿児島県の『ゆう動物病院』さんからお借りしました。

受診した動物病院ではタブレットに繋げて飼い主も画像が見られるようになっていました。

ま、見てもわかりませんけど(^-^;

糞便検査結果も特に問題はありませんでした。

そのう液検査結果

そのう液検査の結果、

  • らせん菌が確認できる
  • 真菌の存在はあやしい

動物保険に入っているので病名告知のために診断名を聞くと、『真菌性気管支炎』とのことでした。抗真菌剤の内服治療をすることになりました。

診察を終えて待合室で待つこと数十分。受付に呼ばれてお薬をもらいます。薬袋から出されたのは、お弁当によく入っているちっちゃなしょうゆやソース用のプラボトル。一回2滴のシロップを与えてください、とのことでした。

・・・ボトルちっさ!一回量少なっっ!!

体重が40gなので、量が少ないのは当たり前なのですが、実際に目にするとあまりの少なさに笑ってしまいました。(風邪を引かせちゃったのに、笑ってごめん、あんこちゃん。)

以下に受診ごとのそのう液検査結果を一覧表にしました。

そのう液検査結果
受診当日 真菌? らせん菌(+)
3日後 真菌? らせん菌(-)
7日後 真菌胞子(+) 
13日後 真菌(-) 雑菌(+)
20日後 問題なし
28日後 問題なし

看病の実際

お薬の飲ませ方や家での過ごし方について、獣医師さんから以下の説明を受けました。

  • シロップはエサに混ぜて飲ませる
  • ひとり餌練習は中止して、挿し餌回数を増やして体重増加を
  • 挿し餌前にはそのうチェック
  • 保温は28-30℃。30℃キープでもいいぐらい

3日後に再診の予約をして、帰宅。おうちでの看病がスタートしました。

内服薬の飲ませ方

動物病院の待合室では、お薬の飲ませ方や強制給餌の仕方などを説明するビデオが流れていました。暴れるインコを保定して、私たちも投薬するの?!とビビりました。

ちなみに保定とは、

動物を治療する際に、動かないようにおさえておくこと。

goo辞書

飼い主も保定ができるようになると、投薬だけでなく、そのうチェックや胸の筋肉の付き方チェック、爪切りなどが安全に行えるようになります。

結局保定はしなくても、薬は挿し餌に混ぜて与えればいいとわかり、ちょっとホッ。(が、実はやっぱり保定はやらなければいけない出来事がこの後待っていました。)

内服の実際は、必要量がちゃんと内服できるように、挿し餌用のスプーンに挿し餌を適量すくい、そこへシロップを直接入れて混ぜ、与えていました。あんこちゃんは食欲もあり、味にあんまりうるさくないタイプなようで、すんなりと飲んで(食べて?)くれました。

初診から約2週間後の受診日に状態がイマイチ上向かないということで、抗真菌剤は中止となったかわりに、抗生剤やビタミン・強肝剤など、内容が増えて散剤になりました。

1日3回2滴の内服ですが、散剤になったので毎朝ボトルに内服薬一包と水を入れて一日分のお薬を作り冷蔵庫保管をする、という日々が始まりました。

シロップと違ってまずいのか、挿し餌用スプーンでの食いつきが悪くなり、再び注射器(フードポンプ)を使った挿し餌に戻すことになりました。

注射器

挿し餌回数を増やす

当時挿し餌は1-2回 / 日で、ケージの床に直播きしたり器に入れたペレットへのひとり餌への練習中でした。

触診の結果、胸筋の発達も未熟で体重ももっと増えた方がいい、とのことでひとり餌練習は中止となり、挿し餌の回数を増やすようにとの指示がでました。

1回量を6-8ccにして、2回 / 1日からスタート。

受診ごとにあんこちゃんの状態を見極めながら、都度獣医師さんの指示があり、回数は適宜変更されました。

挿し餌回数と当時のあんこちゃんの状態の変化について、各項目別に一覧にしてみました。

挿し餌回数

挿し餌回数
受診当日 6-8cc 2回/1日
3日後 3回/1日
7日後 4回/1日
13日後 3回/1日
20日後 同上
28日後 同上

体重変化

体重
受診当日 40g
3日後 40-42g
7日後 40-42g
13日後 43-44g
20日後 41-42g
28日後 41-43g

全身状態

全身状態
受診当日 くしゃみ(+++)
鼻水(++)
ウトウト
丸くなる
あくび
3日後 くしゃみ(+++)
鼻水(++)
7日後 くしゃみ(+)
鼻水(+)
よく鳴き、羽ばたく
13日後 くしゃみ(+)
挿し餌中のみ鼻グズグズ
20日後 くしゃみ(+)
鼻水(±)
よく鳴く
28日後 くしゃみ(-)
鼻水(-)
ペレットも食べている

受診後1週間でよく鳴き、よく動くようになりました。

受診後20日目では、車での移動中も病院の待合い室でもよく鳴き、同じくケージで診察を待っていたオカメインコちゃんの鳴き声につられて、通院バッグの中から「ちゅんっ!」とお返事していました。受診前と様子が全く違ったので、体調が悪かったことが本当によくわかりました。

風邪を機に、挿し餌回数をアップして48日目、生後113日目であんこちゃんはひとり餌になりました。約4か月かかったことになります。

長かった挿し餌卒業までの物語はまたの機会に。

そのうチェック

内服薬は恐れていた保定をしなくて済み、浮かれていた私。

わーい、保定しなくてもいいんだ~

ところが、

「挿し餌の一回量は6-8cc程度にして、次のご飯タイム前には、そのうにエサが溜まっていないかチェックしてしてからあげてくださいね。」

と朗らかに獣医師さんに言われ、青くなった私。

そのうチェックをするということは・・・

やっぱり保定せにゃならんー!

そのうにエサがたまったまま次のエサをあげると、固まってカビが生えたりして更に状態を悪くする恐れがあるためです。

実は過去に一度そのうチェックにトライしてみたもの、案の定、暴れまくるわ噛みつかれまくるわでお互い険悪な?ムードに。一日1-2回の挿し餌で間隔も空いていたこともあり、避けていたのでした。

初心者は要領よくできないので、保定したまま(というか、保定くずれ)の状態も長くなりがちでお互い疲れてしまいます。

ガシッとつかむ通常の保定は難しかったので、タオルでくるんで保定してそのうチェックを始めのうちはしていました。

徐々に私も慣れてきて、タオルなしでも保定ができるように。

チビはというと・・・?

あんこちゃんに嫌われたくないからヤダ!

と一切やらず。

確かに、最初の頃は私を見るだけであんこちゃんはプルプル震えていましたけど(^-^;

今ではたくさん遊んでお世話をして信頼関係が生まれ、背後から掴まれても、タオルを被せても反抗しなくなりました。

写真はチビが保定しているところです。

インコの保定

保温は28-30℃

挿し餌の際のそのうチェック以外にもう一つ頭を悩ませたのが保温でした。

獣医師さんからは、

「28℃以上で保温してください。30℃キープでもいいぐらいです。」

と指示がありました。

保温管理がしやすいのはケージよりも、外と隔てられスペースも狭いプラケースです。あんこちゃんは、ケージデビューをして1週間後に再びプラケース暮らしへ。

インコの保温でよく使われるのは保温電球のようですが、表面温度がかなり熱くなるので、プラケースの変形や火事が怖い。温度変動が大きいのでサーモスタットも必要になるし、プラケースに直接保温電球が当たらないようなレイアウトを考えると恐ろしくごっついものができあがりそう・・・。

我が家には床暖房があります。以下の保温環境でトライしてみることにしました。

  • 床暖房を常時オン
  • 人間用の『ゼンケン 遠赤外線暖房器 アーバンホット』をあんこちゃん用に
保温

温湿度計はプラケースの中と外に設置して、あんこちゃんが膨らんだり寒そうにしてないかを温度共に頻繁にチェック。

温度は温かい日だとうっかり36℃まで上がることはありましたが、だいたい29-31℃を保つことはできました。

人間用のヒーターの問題点は安全装置が働く事。スイッチオンにして8時間で自動で電源が切れてしまうのです。

床暖房だけだと室温は22-24℃程度まで下がってしまいます。いつも子どもと一緒に疲れて10時には寝てしまう私(^-^; それだと6時前には起床しなければなりませんが、朝がメチャクチャ弱いんです・・・あんこちゃんが病気だというのに、ダメな飼い主。

頑張って毎晩12時近くまで起きて一旦ヒーターの電源を入れ直し、翌朝起きたらすぐに再び電源を入れ直す、日中もヒーターの自動オフに気を付ける・・・こんな生活が約1か月半続きました。

いやぁ、ほんとーーーーーーうに気をつかいました。

あんこちゃんのお世話はチビと私がメインなのですが、うっかり夜のスイッチオンオフ作業を忘れてしまったときは、お兄ちゃんがフォローしてくれました。

ゼンケンヒーターの一か月の電気代と自分たちの労力を考えると、素直に『保温電球』と『サーモスタット』を買って、それらを使っても大丈夫な看病のための環境を整えればよかったかも・・・と思わないでもなかったです。モノを増やしたくなかった・・・それだけの理由で頑張ったのでした。

通院期間

挿し餌回数の表にも記載しましたが、初診から診察終了まで約一か月、計6回通院しました。

通院最終日に1週間分の内服薬の処方があり、獣医師さんからは、

「薬がなくなったらひとり餌に移る練習を始めてください。体重が減って2-3日しても戻らなければ受診を。」

とのことでしたが、ひとり餌に完全移行後も体重減少は一時的でその後は順調に大きくなっていってくれました。

結局、完全にお薬が無くなるまでは受診から35日かかりました。

治療費

動物は人間と違って公的な保険制度はありません。うちのワンコが動物病院で治療を受けた後、請求書を渡される受付で何度ひっくり返りそうになったことか。

ところが、インコさんは小さいので検査や薬等々がワンコに比べてお安く感じました。

あんこちゃんがお世話になった動物病院の治療費は以下です。

診療内容 費用
初診料 1,500円
再診料 800円
糞便検査(直接法) 900円
そのう液検査 950円
内服薬(抗生剤シロップ) 2,000円
内服薬(混合散剤 1週間分) 4,800円
爪切り処置 800円

6回の通院で約25,000円かかりました。

アニコム損保の『どうぶつ健保 はっぴぃ』に入っているので手続きをして50%分バックされました。

動物健保

あんこちゃんを購入するときに「インコに保険???」と躊躇しましたが、ワンコの時同様、生後一年は病気などにかかりやすいかもしれないしな、と念のため加入しました。

あんこちゃんは加入後窓口精算ができない期間での受診だったため、直接アニコム損保へ保険金を請求しました。今はLINEで請求できるので比較的簡単に手続きができます。保険請求の実際については後日記事にしたいと思います。

風邪の原因

風邪は、ペットショップから我が家に来て2週間の間に発症したのは間違いありません。原因の特定はできませんが、思い当たることはあります。それは、

温度管理の失敗

早くケージデビューさせたいなぁ~と、完全にひとり餌になる前に昼間だけケージデビューさせたり、うっかりヒーターの電源がオフになっているのに気が付かなかったり、冬生まれでゆっくり成長のあんこちゃんにとって厳しい環境にさせてしまったなと反省しています。

保温に関しては要・不要、様々な考え方があるようです。風邪の経験を活かして、二度目の冬は獣医師さんにも相談しながらあんこちゃんに合った環境を整えてあげようと思います。

今回は『真菌性気管炎』でしたが、抵抗力が下がると肺炎や他の疾患も併発する恐れがあります。鳥さんは体調不良を隠す性質があるため、特に私のような初心者が気づくほど症状が悪化している場合、最悪命の危険もあると思います。

「おや?」

と思ったら特に鳥飼い初心者さんは鳥を診察できる動物病院へ連れて行く事をお勧めします。

おわりに

初めて行った動物病院の先生が丁寧な方でラッキーでした。病状や治療の説明はもちろん、挿し餌の具体的な一回量や回数、保定やそのうの確認の仕方や爪切りのやり方まで色々と教えてくださいました。

「爪切りだけでも来ていただいて結構ですよ。」

との先生の言葉で、あんこちゃんの受診は終了しました。

インコさんの健康は飼い主の幸せですね。

Happy インコ Lifeを