インコの保温方法。ヒーターと温度管理について

インコの保温

あんこちゃん2度目の冬がやってきます。生後3か月の初めての冬には風邪をひいてしまったあんこちゃん。最初の冬は看病用のプラケースで過ごし、ケージでは初めての冬になります。

朝晩冷え込むようになってきた11月頃から私の頭の中は、保温のことでいっぱいい。

保温・・・どれぐらいの温度で過ごさせたらいいの??

今回は、生後10か月のコザクラインコさんの保温管理についての試行錯誤の記録です。

冬の適温は?

手元にある数冊のインコ飼育本には、インコの冬の保温について以下のような記載がありました。一部抜粋します。

  • 1歳以下の若鳥は、秋から春の寒い時期はケージを24-28度に保温することが大切です。『かわいいインコの飼い方・楽しみ方』
  • ケージの気温が昼夜で15度以上の差があるような場合は、保温の工夫をしてあげましょう。『かわいいインコの飼い方・楽しみ方』
  • 若鳥や老鳥以外の健康な個体であれば、寒がっていないのに保温をすれば、寒さに弱い個体になってしまいます。(略)寒がって羽を膨らませていない限り、保温はしないでください。『小動物ビギナーズガイド コザクラ・ボタンインコ』
  • 健康な子の場合、温度の目安は、15-28℃です。『かわいいインコとの暮らし方』
  • 幼鳥、高齢、病鳥→26-32℃、健康な若鳥、成長→20-25℃『しあわせなインコとの暮らし方』

そして、健康診断でお世話になっている獣医師さんは、

「寒がっていたり、体調が悪そうなら28-30℃。30℃キープでもいいぐらいです。でも、普段はそんな温度管理をしなくてもいいですよ。」

結局、一律の温度管理ではなく、個体にあった環境を整えてあげる必要があるということ。

一年前同様、今年も温度計、保温グッズとあんこちゃんとのにらめっこが始まりました。

寒いサイン

インコの寒いサイン

インコさんの寒いサインについておさらいしたいと思います。

  • 全身の羽毛を立ててふくらんでいる
  • 顔を背中の羽毛にうずめている
  • 脚がひんやりと冷たい

以上の様子が見られるとき、寒いときのサインとしてとらえます。この状態が長く続くと免疫力が低下して体調を崩すこともあるそう。

そんなある日、あんこちゃんが顔を背中にうずめて寝ている姿を発見!

顔を背中にうずめて寝ている

11月上旬のある午前中、ふとケージを見ると顔を背中にうずめているあんこちゃんが・・・

寒いのかな??

当時の室温は、床暖房を9段階中のレベル2まで入れて21-22℃程度。それまで羽毛を膨らますなどのサインも気にならなかったので、とりあえず『SANKO バードヒーター』を入れて、床暖房をさらに一段階パワーアップ。

それからあんこちゃんの寒いサインが気になって仕方がない私(^-^;

これ、膨らんでるっていうのかな??

モフモフではあるけれど、寒さに震えて毛羽立っている鳥さん風には見えないし・・・ともんもんとしていました。

早朝と日光浴の活動の違い

数日間観察を続けていると、室温24℃のときに再び顔を背中にうずめてウトウトしているあんこちゃんを発見。気配に気づいてすぐにケージの中を動き回っていましたが、やっぱり寒いのかな??

ネットで情報収集をしてみると、「寒くなくても顔を背中にうずめて眠ることはある」というページもありましたが、あんこちゃんは今まで体調が悪い時以外にこのような姿勢で眠っているのを見かけたことはありません。

他にも、午前中の早い時間は特に、バードヒーターのすぐ近くにある粟穂ホルダーの上からあまり動いていないこともわかりました。

その週はお天気がよかったので日向ぼっこを長めにしていましたが、おひさまが当たっているとケージの中をよく動き回ったり、お気に入りの粟穂ホルダー上だけでなく、いろんな止まり木に止まっていましたし、その姿もモフモフではなく、スック!と立っている感じ。そして、キュルキュルとよく鳴きます。

ケージ内の温度は日陰の26℃から日向の30℃でした。

以上から、あんこちゃんのケージ環境について考えてみました。

  • 25℃前後以上が適温らしい
  • バードヒーターだけではケージ内の保温は不十分
  • 夜間から早朝と昼間の温度差(約10℃)が大きすぎるかもしれない

あんこちゃんの寒いサインと行動の他、ケージ内の温度変化を知るために、温度測定もしてみました。

ケージの場所別温度

以下は保温用のビニールカバーをかけて、バードヒーターをオンにし、床暖房を9段階のレベル2(低温)に設定した際の温度測定結果です。

ケージ内温度測定
室温 24℃
バードヒーター付近(ケージ奥) 29℃
リンゴ止まり木(ヒーターより10cm) 26℃
ケージ手前 24-25℃

あんこちゃんが使っているバードヒーターは、ケージ全体を温めるには向かないことが確認できました。

手持ちの保温グッズを考える

床暖房

あんこちゃんのケージがある部屋にはエアコンがありません。リビングとつながっているので、そのリビングにエアコンはありますがそれを稼働してしまうと人間が暑い・・・。

ケージのある部屋には床暖房が独立してあるので、部屋全体の温度の底上げとして、11月から稼働することにしました。

温度は9段階のレベル2。

部屋を閉め切ると温かく感じますが、床を触っても温かいかな??というレベルです。11月中旬ですが、床暖房がついていれば室温は20℃はキープできます。

温度測定とあんこちゃんの観察結果から適温は25℃前後以上ということがわかっていますので、床暖房だけでは足りません。しかし、エアコン同様、床暖房の温度をあげると人間にとって過ごしにくい部屋になってしまいますし、一定の温度で過ごすことは季節の移り変わりがわからず、あんこちゃんにとってもダラダラ換羽や過発情など、負担となる環境になる可能性が高いです。

全体の室温アップのベースは床暖房として、他の保温グッズが必要になってきます。

ビニールカバー

保温用にと購入した『クオリス ビニールカバーM』。

温度測定の結果、室温+0-1℃とあまりかわらず、保温効果はあまり期待できないことがわかりました。

我が家で現在使用しているのは、ジッパーなしのタイプのものです。換気のためと、バードヒーターと干渉しないようにビニールカバーに一部切込みを入れているので当然といえば当然かもしれませんね。少しでも保温できればな、と、ケージの天井部分に100円ショップで購入したバット用の網を乗せて洗濯ばさみで固定した上にビニールカバーをかけています。

ヒーター・ビニールカバー干渉予防

園芸用のビニールハウスのようにケージをすっぽりと覆ってしまえば温室効果が期待できるのでしょうが、そうなると換気が不十分になりますし、衛生状態が気になります。

おやすみカバー+綿毛布

寝るときに使用している『ホーエイ おやすみカバー タイプB』そこそこの厚みがあって縫製もしっかりしています。

うちには適当なサイズの毛布はなく、インコさん用に使うのでお手入れが頻繁にできるものということで、子どもが小さい頃使っていた綿毛布(綿70%+メリノウール30%)をかけてみることにしました。

結果は・・・

室温とほぼ同じ(^-^;

綿毛布は肌触りがよいですが、ウール100%などに比べてお手入れはしやすいけれど保温性に関してはイマイチ。湯たんぽやより発熱パワーのあるペット用保温電球など、なにか全体を温める熱源があって、その温度をキープするには効果はあるかもしれません。

あんこちゃんのケージでは、換気のためケージ全体をピッチリ覆うわけではなく、隙間が生じるので風よけ程度の効果だと思います。

ケージを毛布等でカバーすることによるデメリットも見えてきました。

インコのケージカバー
  • 日中もカバーするとケージ内が薄暗くなってしまう
  • ケージ全体をしっかりカバーすると毛布にこぼれたエサやフン、羽毛などの汚れが付着しやすくなり不衛生
  • 放鳥や掃除の際、カバーが増える分取り除く手間も増える

おやすみカバーは遮光ができるので今後も夜間に使用しますが、毛布等の併用はしないと思います。

バードヒーター

一年前に購入した『SANKO バードヒーター』。保温用として本格的に使用するのは初めてです。

今回ケージ内を細かく温度測定することで、20wのバードヒーターでは温まる場所が非常に限られることがわかりました。

そりゃ、風邪もひくよね。

バードヒーターはあくまでも補助用で、もっとケージ全体を広く温める保温道具が必要です。ペット用保温電球を購入するかどうか検討することにしました。

各種ヒーターの検討

我が家の手持ちの保温グッズ等の条件からやはりもう一つ、ケージ内の温度を上げるためのメインの保温用品が必要ということがわかりました。以下の3つについて検討することにしました。

  • ペット用保温電球『ミニマルランド 保温電球カバー付き 40W』
  • ペット用ヒーターのうち出力が大きいもの『マイカヒーター』
  • 人間用ヒーター『ゼンケン スポットウォームS』

ペット用保温電球

インコのケージを温める、といえばまず思い浮かぶのが『保温電球』ではないでしょうか。ペットショップでもよく見かけますし、ネットでもインコ飼いの皆さんが愛用されているお写真をたくさん見つけることができます。

でも、保温電球ってなんだか不安なんです。

  • ビニールカバー等と干渉して発火したり溶ける危険
  • インコのやけど
  • サーモスタットと併用するとケージ周りのごちゃごちゃ感が気になる
  • フンやエサの飛び散りによる汚れや故障
  • 電球のため突然切れる

保温電球は、たくさんの飼い主さんが使っているものですし、昔からあるものなのでそれほど心配するほどのこともないのかもしれませんが、第一候補からは外します。

マイカヒーター

インコ用のヒーターを検索していて偶然見つけたのが、『マイカヒーター』。

  • 別売りのホルダーに入れてケージに取り付けられるため見た目がスマート
  • サーモスタット付き
  • 消費電力は60wで『SANKO バードヒーター』の3倍

これは買いかも?!

と思ったのですが、ネット徘徊をしていると60wでも補助的にしかならないという記事を発見。

そしてお値段が高い!

ホルダーとセットで買うと15,000円程します・・・。

うーん、どうしよう。

ゼンケン スポットウォーム

マイカヒーターを検討するなら、安全性で上をいく人間用ヒーターを視野にいれてもいいんじゃないか?!と思えてきました。

一年前の風邪の看病記録、インコが風邪をひいた!治療と看病の実際 で登場した『ゼンケン アーバンホット』。

消費電力は【強】1000w【弱】500wと効果が抜群な分、電気代もかかります。切り忘れタイマーといった安全装置が働いて、スイッチを入れた8時間後に電源が切れてしまうので温度管理は緊張の連続でした。

でも、ゼンケンって他にも遠赤外線ヒーター商品を出しているんですよね。

その中で目を付けたのが、『ゼンケン スポットウォームS』。

  • 幅44×高さ34.5×奥行き3.5cmと小さい
  • 消費電力150w(保温電球、バードヒーターやマイカヒーター以上)
  • サーモスタット付き
  • 不要になった際は人間が使える

お値段も11,000円程度でマイカヒーターよりも安い。

あんこちゃんを温室育ちのお嬢さん(性別はわかりませんが、なんとなく女の子の予感。)にするつもりはなく、様子を見て来年以降の冬は補助的な『SANKO バードヒーター』だけの稼働でいきたいな、と思っている私には、『ゼンケン スポットウォームS』がベストチョイスに思えました。

11月中旬の保温環境

『ゼンケン スポットウォームS』も届き、使い始めのヒーターの異臭を飛ばすべく、別室で試運転も終わりました。ケージからどれぐらいの距離を取れば28℃になるのかチェックをして、

さぁ、冬支度は万全よ!

ところが、11月も下旬になろうとしているのに日中の気温が高く、11月過去最高の気温を記録した地方が続出。わたしが住むところでも25℃まで上がった日がありました。

結局11月現在、気温に合わせて床暖房のレベルを上げ下げして、夜間だけ『ゼンケン アーバンホット』を使用しています。

インコの保温

具体的には、床暖房を9段階中のレベル1-2で、他の暖房器具はなしで室温は日中は25℃程度をキープ。

夜間はつけっ放しだと8時間で自動的に電源が切れてしまうので、『ゼンケン アーバンホット』の「お休みタイマー」「おはようタイマー」を【弱】500wでセットしています。ヒーターオフの状態が2時間あることになりますが、朝まで室温25℃程度をキープできています。『SANKO バードヒーター』は補助的に入れることで、ケージ内が場所ごとに25-29℃程度と変化のある環境になっています。

予想気温をチェックしながら『ゼンケン スポットウォームS』へ変更していく予定です。

いや、もうスポットウォームSへ変更してもいいんですけど・・・ケージと同じ高さにセッティングする必要があるため、もう一つスポットウォームS用にワゴンを用意しなければいけません。これが、ケージ用とスポットウォームS用ワゴンが二つ並ぶとそれなりに圧迫感があるんです。

インコ保温用スポットウォームS

というわけで、スポットウォームSはスタンバイ状態が続いています。

湿度のこと

これまで保温のことばかり書いてきましたが、呼吸器系が弱いとされているコザクラインコさんなので、当然冬の間の乾燥も避けたい。

加湿器を買ってもきっとフィルター掃除なんてマメにやらないよなー、というグータラなわたしなので、湿度対策はズバリ、濡れタオル!

朝晩二回取り替えています。

濡れタオルを一枚ケージとビニールカバーの間に置いておくだけで、晴天時の湿度計はだいたい40%半ば以上はキープできています。ケージ内の温度変化同様、場所によって湿度も変化しているようです。

ちなみに、飼育本には50-60%が目安と書いてあります。ま、許容範囲じゃないでしょうか(^-^;

タオルは毎日洗濯して、清潔ももちろん保ちます。

飼い主の経験値を上げる

あんこちゃん生後10か月の冬支度はこんな感じでスタートしました。けれど、

  • 室温25℃
  • 床暖房、バードヒーター、ウォームスポットS併用

この環境はずっと続ける予定はありません。この記事の冒頭にも引用しましたが、

若鳥や老鳥以外の健康な個体であれば、寒がっていないのに保温をすれば、寒さに弱い個体になってしまいます。

『小動物ビギナーズガイド コザクラ・ボタンインコ』より引用

とても納得できますし、不必要な保温は発情過多やダラダラと換羽が続くなど、インコさんの健康にも大きく関わってきます。

あんこちゃんの保温環境を試行錯誤するなかで、自分の子ども達が赤ちゃんだった頃を思い出しました。沐浴の温度や寝室の温湿度など、最初は細かくチェックしていたなぁ~、と。

子どもの成長に合わせて私もわかることが多くなっていったのと同じように、あんこちゃんのお世話を通して、インコ育ての経験値も上がるのでしょう。経験を積めば、自信を持って冬のお世話ができるようになるはずです。

おわりに

インコ飼い初心者なら誰でも頭を悩ませるであろう、保温。

我が家では、人間用の暖房器具をメインに、ペット用ヒーターを補助的に使うことで、今のところあんこちゃんは快適なケージ生活を送っています。

・・・人間が払う光熱費は高くなりますけどね(^-^;

インコさんだけでなく、飼い主含む人間も快適に過ごせるように考えた結果が、今のカタチになりました。これは最終形ではなく、今後も変化していくものだと考えています。

あんこちゃんとわたしの「保温物語」は続く・・・?

快適な冬のケージでHappy インコ Life を。